私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます~
運転席を覗いた顔は、なんと夫だった。

勇気君は、何でだよという顔をしている。

「おい、開けろ。」

夫に言われ、ドアを開ける勇気君。

「人の奥さん、なんてとこに連れて来てんだよ。さっさとどけろ。」

言われるがまま、勇気君は車から降りて、代わりに夫が乗って来た。

「守さん……」

「帰るぞ。」

夫はシートベルトを締めると、車を走らせた。

運転中、何も聞かない夫。

それが余計に、空気を重くしている。

そして、再び車は病院の駐車場へ着いた。

「今回は、見逃すから。」

「だから、あなたのも見逃せって言うの?」

二人で見つめ合う。

「なんだ、やる気満々だったんだ。」

「何を?」

「浮気。」

その単語に、腹が立った。

「あなただって、やる気満々でやったんでしょ。」
< 29 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop