私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます~
そんなにも、私と一緒にいるのが嫌なんだろうか。

私は、夫の背中を走って追いかけた。

どうしてかは、分からない。


そして夫は、宿直室のドアを開けた。

振り返ると、私がいる事に驚いていた。

「付いてきたのか。」

「あなたが寝泊まりしてる場所、見たくて。」

中に入ると、何も荷物はない。

「洗濯物、これ。」

綺麗に整頓されている洗濯物。

夫はこんなにも、几帳面な人だったのか。

「ほのか?」

久しぶりに名前を呼ばれ、ドキッとする。

「あっ、うん。」

それを受け取ると、照れくさくて髪を掻き上げた。


「ねえ、あなた。」

「なに?」

「来週の週末、空いてる?」

「オペ入ってるけれど、どうして?」

忘れてるのだ。私の誕生日の事を。

「ううん。何でもない。」
< 3 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop