私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます~

結婚の真相

午後9時。いつもより夫は、遅く帰って来た。

「お帰りなさい。」

「ただいま。」

夫は目を合わせない。しかも元気がない。

絶対に、今日は離婚に持ち込んでみせる。

「先に、ご飯食べて。」

「ああ。」

「その後に、話合いましょう。」


夫は夕食を摂る時も、無口だった。

そう言えば、夫から何か話題を提供する事は、あまりなかった。

仕事の話すら、結婚前もしなかった。

その時、夫の箸が止まった。

「今日、幼い子供が運ばれて来て、オペしたんだけど、ダメだった。」

夫は、一点を見つめてボーっとしている。

「亡くなったって事?」

「ああ。」

医療の現場では、そんな事もあるだろうに。今の夫は、それに憑りつかれているように落ち込んでいた。

「子供が亡くなるのは、悲しいよ。両親の悲しみを思うとね。」

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