私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます～
そんな話でさえ、離婚の話の妨げに思うなんて、私は冷たい人間なのだろうか。

「やっぱり、家族は失いたくないよ。」

夫が私を見つめる。

「俺にとっては、ほのかが唯一の家族なんだ。」

「どうして？ご両親がいるでしょ。」

「本当の親じゃない。養子なんだ。俺。」

息が止まりそうになった。

「だから俺、家族って一体何なのか。今でも分からないよ。でも、ほのかとはこれからも、家族でい続けたい。」

夫はご飯を食べ終えると、“ごちそうさま”と言い、茶わんやお皿を台所に持って来てくれた。

「ありがとう。」

夫が隣にいる。夫の体温を感じる。

「ほのか。」

夫は私の肩を抱き寄せた。

「これからも、こうやって二人仲良く暮らしていこう。」

私には、そんな言葉さえ、離婚を回避する為の取り繕った言葉にしか聞こえない。
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