私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます~
今すぐに“うん”とは言えない。

「考えさせて。」

そう答えるのが、精一杯。

「ほのか。」

夫が真剣な瞳で、私を見つめる。

「俺は、ほのかを愛している。君に見合う男になるから。」

「えっ……」

そう言うと夫は、私の側を離れて行ってしまった。


いつだって、夫は私には勿体ないくらいの人だった。

だからこそ、浮気されたのがショックだった。

もう、夫は私を愛していないのだと。

それなのに。

私は台所で、座って足を抱えた。

分からない。夫がもう、分からなくなってしまった。


翌日、夫が会社に行っている間、私は実家を訪ねた。

「なんだ、どうした?元気だったか?」

父親は優しい微笑みで、私を迎い入れてくれた。

「守君と、うまくやってるか?」
< 33 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop