私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます~
私は前を向くと、急いで階段を降りて、駐車場への廊下を走った。

二人は結婚してもおかしくないくらいに、仲がいい。

私がいるのに、どうして?


その時、誰かにぶつかった。

「すみません。」

相手の顔を見ずに、頭を下げた。

「ほのか先輩?」

顔を上げて、懐かしい顔に目をパチパチさせた。

「勇気君……」

そこには、スーツ姿の元同僚の姿があった。

「お元気ですか?ああ、そう言えば、俺。ほのかさんの後に、この病院の担当になったんですよ。」

私は結婚する前、製薬会社に勤めていた。

新しい薬が発売されては、この病院に来て、説明をしに回っていた。

夫との結婚も、よくしてくれていた医師が、「いい人がいるから。」と紹介してくれたのだ。

「そう。勇気君が。」
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