私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます~
勇気君は、私が結婚退職する前に、入社してきた後輩で、私によく懐いていた。

結婚した後は、疎遠になっていたけれど、こうして再び会うだなんて。


「なんだか、浮かない顔ですね。」

私はドキッとした。

「そう?おかしいな。元気は元気なんだけど。」

そう言った途端に、涙が出た。

「大丈夫ですか?」

そっと勇気君の手が伸びて来て、私の涙を拭ってくれた。

「勇気君。」

「放っておけないな。」

勇気君の真剣な眼差しに、胸が締め付けられた。

「話なら聞きますよ。そうだ、この病院に新しくカフェができた事知ってます?」

「新しいカフェ?」

「そこに行きましょう。」

勇気君は、笑顔で私にカフェの方向を指さした。

でも、私の足は動かない。

いくら後輩だとしても、夫以外の男と二人きりで会うなんて。
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