私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます~
「勇気君…あの……」

「ねえ、行きましょう。」

そう言うと勇気君は、私の手を握った。

戸惑う私を連れて、勇気君は新しいカフェへと向かう。

何故か、勇気君の背中が頼もしく見えた。


新しいカフェは、外科病棟とは遠くにあった。

これだったら、夫に見られる心配はないと、ちょっと安心した。

勇気君は、私の分までアイスコーヒーを頼むと、メニュー表を片付けた私の手の上に、自分の手を乗せた。

「それで?どうしたんですか?」

その温かい温もりを感じると、閉ざした心が溶けていくのが分かった。

勇気君だったら。

自然に私は、話し始めた。

「……夫が浮気しているかもしれないの。」

「証拠はあるんですか?」

「ない。ただそういう噂を耳にしただけで……」
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