私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます~
そうだ。これはただの噂なのだ。

あの人たちがただ、美緒先生と夫との関係を、誤解しているのかもしれない。

「勇気君、ごめん。なんか勇気君に会ったら、気持ち落ち着いて来た。」

手を離そうとすると、勇気君は追いかけるように、また私の手を掴んだ。

「ほのかさん、今幸せ?」

「えっ……」

「俺、ほのかさんが好きだ。」

胸がドキンと鳴った。

「今日、久しぶりに会って、まだほのかさんが好きだって気づいた。結婚するって聞いた時は、落ち込んだ。でも、相手は医者だって言うし。幸せになってくれれば、それでいいって思って。」

「勇気君。」

言葉が出ない。彼が私に特別な感情を抱いている事は、薄々知っていた。

でも、知らない振りをしていた。

彼は、私よりも年下だから。
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