完璧男子蒼くんとの秘密のレッスン【マンガシナリオ】
1
〇結菜の部屋・ベッドの上・夜
窓辺のベッドの上で向き合っている結菜と蒼。
余裕そうな笑みを浮かべている蒼。結菜はうつむいて顔を真っ赤にしている。
内田結菜(うちだゆいな):黒髪ストレートで地味で真面目そうな見た目。身長も平均より低い。
綾川蒼(あやかわあおい):茶髪(地毛)。片耳だけシルバーのスタッドピアスをつけている。美形。
蒼「はい、じゃあまず俺を恋人だと思って名前を呼んでみて。呼び捨てね」
結菜「あ……」
結菜の心臓の音がドクンドクンと鳴る。
蒼「どうしたの? ほら、ちゃんとやって」
首をかしげる蒼。ギュッと目をつぶる結菜。
結菜「あ、蒼っ」
結菜が呼んだ瞬間、蒼の手が結菜の頬に触れる。
蒼「うん。上手だね結菜」
目をぐるぐる回す結菜。
結菜モノローグ『どうしてこんなことになったの!?――』
○学校・教室・朝
二年A組の教室内。朝礼前でクラスメイトが楽しそうに雑談している。
モノローグ結菜『四月。高校2年生になって、皆がキラキラしてる』『一方の私、内田結菜は、息を潜めて存在感を消していた』『始業式の日、せっかく早く来たというのに、私は誰とも話せていなかった』
自分の席で、落ち着いた様子で本を読みながら外を眺める結菜。
実はプルプルと震えている。デフォルメ絵
結菜(どうしよう……今日も誰とも話してない)(もうグループ出来上がってる、よね? ぼっちで座ってるだけなのが辛くて思わず本を開いちゃった! 完全に話しかけに行くタイミングを逃しちゃったよ~)
結菜モノローグ『人見知りでコミュ障。そんな私が一から友達を作るなんて無理なのかもしれない……』
結菜(去年は友だち出来なくてボッチな一年だったから、今年こそは! って思ったんだけどな)
ため息をつきながら横目でチラリと扉の方を見る結菜。
扉が開き、蒼が入って来る。皆が注目する。
蒼「おはよ。ってか、はじめまして?」
爽やかな笑顔の蒼がにっこりと微笑む。クラスメイト達が蒼を囲む。ワイワイと楽しそうな雰囲気。
男子1「転入生?」
男子2「珍しいなー」
女子1「えぇ、イケメン…! なんて名前?」
女子2「あとで学校案内してあげるよー」
蒼「綾川蒼。案内より皆の名前教えて欲しいなー」
完璧な蒼のスマイルに、男子も女子も撃ち抜かれる。
その様子を自席から見つめる結菜。
結菜(すごい。来た途端に話題の中心人物に! 転入生なのにあっという間に馴染んでる!)(でも、どこかで見たような……)
思い出そうと首をかしげる結菜。デフォルメ絵。
蒼が結菜の方を見る。バチっと目が合う。ずんずんと結菜の方へ向かってくる蒼。慌てる結菜。
結菜(な、何!? じっと見てたのがバレた!?)
結菜のことをじっと見つめる蒼。ビクビクと震える結菜。
結菜「あ、あの……何か?」
蒼「おはよ」
キラキラとした眩しい笑顔で微笑む蒼。強張る結菜。
結菜(ま、眩しいっ!)
結菜「あ、うん……おはよう……ございます」
きょとんとした顔をする蒼。すぐに笑顔に切り替える。
結菜の前の席を指さす。
蒼「俺の席ここ。綾川蒼です。よろしくねー」
結菜「あ、あのっ! 内田結菜ですっ! よろしくお願いします!」
結菜(音量間違えたっ! 声ひっくり返ったし……)
大声で返す結菜。シーンとする教室。クラスメイトが一斉にこちらを見る。気にせずにっこりと微笑む蒼。
クラスメイトが扉の方でヒソヒソ。
女子1「あの子誰ー?」
女子2「分かんない……蒼くんの知り合い?」
男子1「まさか! タイプ違いすぎだろ」
男子2「確かに」
胸がズキっと痛む結菜。
結菜(私……ダメなんだ。綾川くんみたいには出来ない……)
恥ずかしさと情けなさで顔を赤らめてうつむく結菜。
急に顔を近づけてくる蒼。結菜に耳打ちをする。
蒼「あのさ、覚えてない? っていうか、聞いてない?」
結菜「え?」
誰にも見られていない角度で、爽やかな表情ではなく艷やかな表情をする蒼。
蒼の言葉にきょとんとする顔を上げる結菜。何か悪戯を思いついたような顔をする蒼。
蒼「ふーん。まぁいいや」
前の席に座る蒼。
結菜「な、なんだったの……?」
蒼の背中を見つめながら呆然と呟く結菜。
〇教室・授業後・昼
ぐったりと机に突っ伏している結菜。
結菜(疲れた~。自己紹介……何を言ったのかもう記憶がない)(蒼くんはすごく目立ってたな。笑いもとってたし……)
キラキラと自己紹介をする蒼に釘付けになるクラスメイト達。デフォルメ絵。
反対に、あわあわと自己紹介している結菜のデフォルメ絵。
結菜(結局、今日は誰とも話せなかった……)(いや、一応話したな……綾川くんと)
結菜が蒼の背中を眺める。
蒼の席をクラスメイト達が囲んでいる。
男子1「あー終わった。蒼は家どの辺なの?」
男子2「カラオケ行くべ。近くに穴場があんのよ」
女子1「その前にコンビニ寄ろーお菓子欲しくない?」
女子2「いいね! 新発売のチョコのやつ買うー」
蒼「行きたいけど、俺は……」
困り顔の蒼が何かを言いかけた時、扉から担任が顔を出す。
先生「おーい、出席番号一番と二番。悪いけど、帰る前に手伝ってくれるか?」
蒼は顔がパッと明るくなって、後ろの結菜を見る。
蒼は立ち上がって結菜の手を握る。
蒼「だってさ。行こ?」
結菜「えぇ? ちょっとっ……!」
蒼に手をひかれて廊下に出る結菜。
〇理科準備室・昼
結菜モノローグ『私たちは明日の授業で使う資料の整理をすることになった――』
職員室で担任が結菜と蒼の二人に「これよろしくな」と資料を渡す。デフォルメ絵。
長机の上に資料が並んでいる。
資料を数枚ずつホチキスで留める作業をする蒼と結菜。二人は並んで座っている。
結菜(沈黙が苦しい……)
蒼「内田さんって本が好きって言ってたけど、どんな本を読むの?」
結菜「は、はいっ!? なぜそれを!?」
作業しながら話しかける蒼。びくりと肩を震わせる結菜。
蒼「なぜって……はははっ! 自分で自己紹介したんじゃん。忘れたの?」
からからと笑う蒼。その姿に胸がドキッとする結菜。
結菜(なんだろう。綾川くんの雰囲気がさっきまでと違う……)
蒼を見つめる結菜。見つめられて「ん?」と首を傾げる蒼。ハッとする結菜。
結菜「え、えっと……ファンタジー系の小説とか、です」
消え入りそうな声で答える結菜。結菜は見ていないが、蒼は優しい顔で「そっか」と微笑む。
そしてしばらくの沈黙の後、蒼が口を開く。
蒼「あのさ、もしかして一人が好きなタイプ? そうだとしたら……うるさくしてごめんね?」
少し悲しそうな顔で謝る蒼。
固まる結菜。そして慌てて首をふった。
結菜「う、ううん。違うの! 私、上手く話せなくて……。せっかく綾川くんが話しかけてくれたのに。朝も挨拶すらちゃんと返せなくてっ。こっちこそ、ごめんね」
必死に答える結菜。作業を続ける蒼。蒼こ顔は見えない。
蒼「そっか。でも、今は普通に話せてるよ?」
結菜「それはっ、綾川くんが……」
言い淀む結菜。蒼は手を止めて身体ごと結菜の方を向く。優しい表情の蒼。
蒼「俺が? どうしたの?」
結菜「私が話すのを待っててくれるから……」
結菜は導かれるように答える。
結菜モノローグ『不思議……。二人きりの時の綾川くんは、なんだか話しやすい』
それから結菜は緊張が少し解けたように蒼に向き合う。
結菜「綾川くんはすごいね。転校してきたばっかりなのに、もうクラスに馴染んでて……」
蒼「そうかな? 普通にしてただけだよ」
結菜「あれが普通!? やっぱりすごい……私には絶対出来ないもん」
尊敬するような眼差しで蒼を見る結菜。
顎に指をあてて「うーん」と考える蒼。
「あ!」と言って何かを思いついた蒼が、キラキラとした表情で結菜の手をそっと握る。
蒼「じゃあ、俺が練習台になってあげる」
結菜「へ? 何の?」
蒼「人と接する練習の、だよ」「練習すれば、内田さんも皆と話せるようになるし、友達も出来ると思うよ」
結菜「で、でも……」
戸惑う結菜。握られている手を引こうとするが、動かない。
蒼「決まりね。俺がレッスンしてあげる」
パチリとウインクする蒼。
結菜『私、内田結菜。友達を作る前に、練習台を手に入れてしまったみたい――』
〇帰り道・夕方
とぼとぼと一人で歩く結菜。
結菜「疲れた……」
結菜モノローグ『結局あの後――綾川くんにどう接していいか分からず、爆速で作業を終わらせたのだ』
爆速で作業する結菜と微笑みながら見ている蒼のデフォルメ絵。
結菜(綾川くんは送ってくれるって言ってたけど、図書室に寄るって言って逃げてきちゃった……)
蒼の顔を思い出し、少し顔を赤らめる結菜。首を振って振り払う。
家の前まで着く。一般的な一軒家。扉をガチャリと開ける結菜。
玄関奥の廊下に立っている私服(Tシャツにスウェット)姿の蒼。企みが成功したような顔で笑う。
蒼「あ、やっと帰ってきた。おかえりー」
結菜「なっ……!!!」
驚く結菜の顔アップ。
結菜『なにやら波乱の予感です――』
窓辺のベッドの上で向き合っている結菜と蒼。
余裕そうな笑みを浮かべている蒼。結菜はうつむいて顔を真っ赤にしている。
内田結菜(うちだゆいな):黒髪ストレートで地味で真面目そうな見た目。身長も平均より低い。
綾川蒼(あやかわあおい):茶髪(地毛)。片耳だけシルバーのスタッドピアスをつけている。美形。
蒼「はい、じゃあまず俺を恋人だと思って名前を呼んでみて。呼び捨てね」
結菜「あ……」
結菜の心臓の音がドクンドクンと鳴る。
蒼「どうしたの? ほら、ちゃんとやって」
首をかしげる蒼。ギュッと目をつぶる結菜。
結菜「あ、蒼っ」
結菜が呼んだ瞬間、蒼の手が結菜の頬に触れる。
蒼「うん。上手だね結菜」
目をぐるぐる回す結菜。
結菜モノローグ『どうしてこんなことになったの!?――』
○学校・教室・朝
二年A組の教室内。朝礼前でクラスメイトが楽しそうに雑談している。
モノローグ結菜『四月。高校2年生になって、皆がキラキラしてる』『一方の私、内田結菜は、息を潜めて存在感を消していた』『始業式の日、せっかく早く来たというのに、私は誰とも話せていなかった』
自分の席で、落ち着いた様子で本を読みながら外を眺める結菜。
実はプルプルと震えている。デフォルメ絵
結菜(どうしよう……今日も誰とも話してない)(もうグループ出来上がってる、よね? ぼっちで座ってるだけなのが辛くて思わず本を開いちゃった! 完全に話しかけに行くタイミングを逃しちゃったよ~)
結菜モノローグ『人見知りでコミュ障。そんな私が一から友達を作るなんて無理なのかもしれない……』
結菜(去年は友だち出来なくてボッチな一年だったから、今年こそは! って思ったんだけどな)
ため息をつきながら横目でチラリと扉の方を見る結菜。
扉が開き、蒼が入って来る。皆が注目する。
蒼「おはよ。ってか、はじめまして?」
爽やかな笑顔の蒼がにっこりと微笑む。クラスメイト達が蒼を囲む。ワイワイと楽しそうな雰囲気。
男子1「転入生?」
男子2「珍しいなー」
女子1「えぇ、イケメン…! なんて名前?」
女子2「あとで学校案内してあげるよー」
蒼「綾川蒼。案内より皆の名前教えて欲しいなー」
完璧な蒼のスマイルに、男子も女子も撃ち抜かれる。
その様子を自席から見つめる結菜。
結菜(すごい。来た途端に話題の中心人物に! 転入生なのにあっという間に馴染んでる!)(でも、どこかで見たような……)
思い出そうと首をかしげる結菜。デフォルメ絵。
蒼が結菜の方を見る。バチっと目が合う。ずんずんと結菜の方へ向かってくる蒼。慌てる結菜。
結菜(な、何!? じっと見てたのがバレた!?)
結菜のことをじっと見つめる蒼。ビクビクと震える結菜。
結菜「あ、あの……何か?」
蒼「おはよ」
キラキラとした眩しい笑顔で微笑む蒼。強張る結菜。
結菜(ま、眩しいっ!)
結菜「あ、うん……おはよう……ございます」
きょとんとした顔をする蒼。すぐに笑顔に切り替える。
結菜の前の席を指さす。
蒼「俺の席ここ。綾川蒼です。よろしくねー」
結菜「あ、あのっ! 内田結菜ですっ! よろしくお願いします!」
結菜(音量間違えたっ! 声ひっくり返ったし……)
大声で返す結菜。シーンとする教室。クラスメイトが一斉にこちらを見る。気にせずにっこりと微笑む蒼。
クラスメイトが扉の方でヒソヒソ。
女子1「あの子誰ー?」
女子2「分かんない……蒼くんの知り合い?」
男子1「まさか! タイプ違いすぎだろ」
男子2「確かに」
胸がズキっと痛む結菜。
結菜(私……ダメなんだ。綾川くんみたいには出来ない……)
恥ずかしさと情けなさで顔を赤らめてうつむく結菜。
急に顔を近づけてくる蒼。結菜に耳打ちをする。
蒼「あのさ、覚えてない? っていうか、聞いてない?」
結菜「え?」
誰にも見られていない角度で、爽やかな表情ではなく艷やかな表情をする蒼。
蒼の言葉にきょとんとする顔を上げる結菜。何か悪戯を思いついたような顔をする蒼。
蒼「ふーん。まぁいいや」
前の席に座る蒼。
結菜「な、なんだったの……?」
蒼の背中を見つめながら呆然と呟く結菜。
〇教室・授業後・昼
ぐったりと机に突っ伏している結菜。
結菜(疲れた~。自己紹介……何を言ったのかもう記憶がない)(蒼くんはすごく目立ってたな。笑いもとってたし……)
キラキラと自己紹介をする蒼に釘付けになるクラスメイト達。デフォルメ絵。
反対に、あわあわと自己紹介している結菜のデフォルメ絵。
結菜(結局、今日は誰とも話せなかった……)(いや、一応話したな……綾川くんと)
結菜が蒼の背中を眺める。
蒼の席をクラスメイト達が囲んでいる。
男子1「あー終わった。蒼は家どの辺なの?」
男子2「カラオケ行くべ。近くに穴場があんのよ」
女子1「その前にコンビニ寄ろーお菓子欲しくない?」
女子2「いいね! 新発売のチョコのやつ買うー」
蒼「行きたいけど、俺は……」
困り顔の蒼が何かを言いかけた時、扉から担任が顔を出す。
先生「おーい、出席番号一番と二番。悪いけど、帰る前に手伝ってくれるか?」
蒼は顔がパッと明るくなって、後ろの結菜を見る。
蒼は立ち上がって結菜の手を握る。
蒼「だってさ。行こ?」
結菜「えぇ? ちょっとっ……!」
蒼に手をひかれて廊下に出る結菜。
〇理科準備室・昼
結菜モノローグ『私たちは明日の授業で使う資料の整理をすることになった――』
職員室で担任が結菜と蒼の二人に「これよろしくな」と資料を渡す。デフォルメ絵。
長机の上に資料が並んでいる。
資料を数枚ずつホチキスで留める作業をする蒼と結菜。二人は並んで座っている。
結菜(沈黙が苦しい……)
蒼「内田さんって本が好きって言ってたけど、どんな本を読むの?」
結菜「は、はいっ!? なぜそれを!?」
作業しながら話しかける蒼。びくりと肩を震わせる結菜。
蒼「なぜって……はははっ! 自分で自己紹介したんじゃん。忘れたの?」
からからと笑う蒼。その姿に胸がドキッとする結菜。
結菜(なんだろう。綾川くんの雰囲気がさっきまでと違う……)
蒼を見つめる結菜。見つめられて「ん?」と首を傾げる蒼。ハッとする結菜。
結菜「え、えっと……ファンタジー系の小説とか、です」
消え入りそうな声で答える結菜。結菜は見ていないが、蒼は優しい顔で「そっか」と微笑む。
そしてしばらくの沈黙の後、蒼が口を開く。
蒼「あのさ、もしかして一人が好きなタイプ? そうだとしたら……うるさくしてごめんね?」
少し悲しそうな顔で謝る蒼。
固まる結菜。そして慌てて首をふった。
結菜「う、ううん。違うの! 私、上手く話せなくて……。せっかく綾川くんが話しかけてくれたのに。朝も挨拶すらちゃんと返せなくてっ。こっちこそ、ごめんね」
必死に答える結菜。作業を続ける蒼。蒼こ顔は見えない。
蒼「そっか。でも、今は普通に話せてるよ?」
結菜「それはっ、綾川くんが……」
言い淀む結菜。蒼は手を止めて身体ごと結菜の方を向く。優しい表情の蒼。
蒼「俺が? どうしたの?」
結菜「私が話すのを待っててくれるから……」
結菜は導かれるように答える。
結菜モノローグ『不思議……。二人きりの時の綾川くんは、なんだか話しやすい』
それから結菜は緊張が少し解けたように蒼に向き合う。
結菜「綾川くんはすごいね。転校してきたばっかりなのに、もうクラスに馴染んでて……」
蒼「そうかな? 普通にしてただけだよ」
結菜「あれが普通!? やっぱりすごい……私には絶対出来ないもん」
尊敬するような眼差しで蒼を見る結菜。
顎に指をあてて「うーん」と考える蒼。
「あ!」と言って何かを思いついた蒼が、キラキラとした表情で結菜の手をそっと握る。
蒼「じゃあ、俺が練習台になってあげる」
結菜「へ? 何の?」
蒼「人と接する練習の、だよ」「練習すれば、内田さんも皆と話せるようになるし、友達も出来ると思うよ」
結菜「で、でも……」
戸惑う結菜。握られている手を引こうとするが、動かない。
蒼「決まりね。俺がレッスンしてあげる」
パチリとウインクする蒼。
結菜『私、内田結菜。友達を作る前に、練習台を手に入れてしまったみたい――』
〇帰り道・夕方
とぼとぼと一人で歩く結菜。
結菜「疲れた……」
結菜モノローグ『結局あの後――綾川くんにどう接していいか分からず、爆速で作業を終わらせたのだ』
爆速で作業する結菜と微笑みながら見ている蒼のデフォルメ絵。
結菜(綾川くんは送ってくれるって言ってたけど、図書室に寄るって言って逃げてきちゃった……)
蒼の顔を思い出し、少し顔を赤らめる結菜。首を振って振り払う。
家の前まで着く。一般的な一軒家。扉をガチャリと開ける結菜。
玄関奥の廊下に立っている私服(Tシャツにスウェット)姿の蒼。企みが成功したような顔で笑う。
蒼「あ、やっと帰ってきた。おかえりー」
結菜「なっ……!!!」
驚く結菜の顔アップ。
結菜『なにやら波乱の予感です――』
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