一般生徒禁制!?男子だらけの『月虹学園・生徒会花園寮』


「それでは、改めて。高辻渚沙さん、月虹学園高等部生徒会へようこそ!! 執行役員一同、心より歓迎致します!」
「あ、ありがとうございます。あの、こういう活動には不慣れですが、頑張りますので宜しくお願い致します」

 翌日の放課後。ついに『生徒会花園寮』に入寮することになった私。

 昨日に引き続き不在の九条先輩を除き、一ノ瀬先輩、久遠先輩、大急ぎで北海道から帰って来た矢神先輩、そして鷹宮先生の4人による“入寮式”……と言う名の、歓迎食事会が開催されていた。

 共用部の大きなダイニングテーブルに置かれている沢山のご馳走。平日で作る時間なんて無かったから、と笑いながら話す鷹宮先生が全て用意してくれたようだ。

「あ、これ。北海道で買ってきた。高辻さん……良かったら」
「……ありがとうございます」

 矢神先輩が差し出してくれたお皿には、ニシンの甘露煮が乗っていた。チョイスがすっごく渋いけれど……美味しく頂くことにする。


 “入寮式”と言われて、最初こそ緊張をしていた私。
 生徒会室ではもう活動を行っているけれど、やっぱり寮となると訳が違うから。

 しかし、そう思っていたのも束の間。
 エリートなイケメン集団とは言え、みんな優しさの塊のような人。故に、緊張が解けるのにそう時間は掛からなかった。



「なーぎちゃん!」
「げっ、た……鷹宮先生!」

 未成年集団を前に、1人だけお酒を飲んでいた鷹宮先生。
 寮とは言え学校の敷地内で何してんの!? なんて思いつつ、酔っ払って抱きついてきた先生の体を必死に押して抵抗する。

「鷹宮先生、やめてください!」
「良いじゃん、僕となぎちゃんの仲でしょ。ほら、なぎちゃんも“お兄ちゃん”って呼んでよ〜」
「絶対に呼ばないんだからっ!!」

 私がどれだけ力を振り絞っても押せない鷹宮先生の体。必死になって押し続けていると急に先生が離れ、それに伴い体が解放された。
 驚き少し上を見上げると、先生のワイシャツの襟を掴んでいる一ノ瀬先輩が視界に入る。先輩は呆れたような表情をしていた。

「鷹宮先生? 従兄妹とは言えダメだよ」
「えぇ、ダメぇ?」

 ふにゃあと微笑む先生を見て、一ノ瀬先輩は大きく溜息をつく。その後ろで久遠先輩は「不純、不穏……。鷹宮先生、要注意。ブラックリスト入りです」なんて静かに呟いていた。


< 7 / 8 >

この作品をシェア

pagetop