繋いだ手は離さない
 と思い、必要最低限の授業には出席して、それ以外の時間は自宅でパソコンのキーを叩き続けていた。


 秋は物憂い季節だ。


 何かとセンチメンタルになってしまう。


 ボクも季節柄か、秋の花粉に悩まされていたし、気持ちも落ち込み気味だった。


 そんなとき、傍にいてくれるのが愛理香だ。


 彼女はボクが元気がないときは、励ましてくれた。


 ボクたちは言わずもがなの恋人同士なので、絶えず助け合っている。


 ボクが苦しいときは愛理香に助けてもらっていたし、彼女がいろんな面で困っているときは進んで助けていた。


 持ちつ持たれつしているうちに十一月も後半となり、三年の後期も終わりかけている。


 町全体が冷え込んでいて、ボクたちは洋服を重ね着しながら、寒さを凌いだ。


 そして秋が終わり、寒さが本番を迎える冬がやってきた。


 十二月の中旬にボクは愛理香のアパートを訪ねていった。
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