繋いだ手は離さない
 彼女は気が利いていて、ボクが着たときのためにビールをダースで買って、準備していた。


 ボクはアルコール控えめなので、三百五十ミリ入りの缶ビールを丸々一本飲むと、後は一切飲まなかった。


 それだけアルコール自体が、いかに適量でも体に悪いと分かっていたからだ。


 つまり年に似合わず、しっかりと摂生しているのである。


 ボクたちは三度目となる冬を迎えていた。


 二人きりで部屋で過ごすのはとても楽しい。


 それがたとえ、何気ない時間だったとしても、だ。


 寒波が来ていて、町中が冷え込む。


 通りを歩く人が少なく、皆冬ごもりをしているのだ。


 そしてボクたちは三年生のカリキュラムを終え、年明けの後期試験に向けて、勉強していた。


 ボクたちは一緒の布団に寝るときは、繋いでいた手を離さないでいる。

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