繋いだ手は離さない
 さすがに大学も四年となると、出席しなければならない授業はゼミぐらいになる。

 
 卒業に必要な単位は三年まででほとんど取り終えていて、後は卒論だけだ。


 ボクたち二人はそれもすでに着手していて、原稿も書き終え、後は推敲するだけになっていた。
 

 つまり卒業までにかなりの時間があるのだ。


 しかもある程度まとまった時間が取れた。


 ボクも愛理香も休みの日は都合を付けて会い、またウイークデーは一緒の授業に出席して、メールのやり取りなどをしながら愛情を確かめ合う。


 二人でいられる時間がとても楽しく感じ取れた。


 ボクたちは春があっという間に過ぎてしまい、二人にとって四回目の夏が訪れたのを感じている。


 夏という季節は愛を育むには絶好のシーズンだ。


 ボクたち二人はまたあの海を見に行った。


 二人で車を降りて、ゆっくりと眩しい海岸沿いを歩き続ける。

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