繋いだ手は離さない
 そして涼しい秋も終わってしまい、いつの間にか風が冷たい冬が訪れている。


 ボクたちが二人で送る、学生生活最後の冬は楽しかった。


 ボクも陽気になり、一日が終わると買い込んできていたビールを三本ぐらい飲んで、ゆっくりと寛ぐ。


 愛理香は院試が終わるまではアルコールは一滴も含まずに、勉強を続けていた。


 だが、さすがにクリスマスが訪れると、勉強もそこそこにしてアルコールを含む。


 長い長いナラタージュが終わり、ボクたちは現実へと引き戻された。


 ボクはセックスし終え、愛理香を抱きしめると、耳元でそっと囁く。


「……好きだよ」


 偽りのない正直な気持ちだった。


 その呟きに応じて、目を薄っすらと閉じていた愛理香が、


「あたしも」
 

 と言って、頷く。

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