繋いだ手は離さない
 枚数は三百枚である。


 ちょうど規定枚数に収まった。


 愛理香はボクと会う合間を縫って院試の勉強を続けている。


 彼女はどうやら大学院の試験に通りそうだった。


 二人で充実したときを送り続ける。


 そして寒い冬が終わり、暖かい春がやってきた。


 ボクはスーツ姿で、愛理香は振袖姿で、卒業式に出席した。


 高北大はマンモス大学だから、一学年が一万人ぐらいいる。


 全学部学科合同で、式が行われた。


 ボクたちは離れた席に座って、ケータイを弄りながら、開式を待つ。


 式が始まるのと同時に、一気に卒業式ムードとなった。


 各学部学科の成績優秀者が発表され、国歌が演奏された後、校歌も流れる。
 

 そして式は恙無(つつがな)く終わった。
< 112 / 124 >

この作品をシェア

pagetop