繋いだ手は離さない
 掃除が終わったら二人で飲むつもりでいるのだ。


 愛理香は掃除し終えると、綺麗に手を洗い、ボクがコーヒーを淹れていたのを知っていたらしく、


「コーヒー飲もうよ」


 と言ってきた。


「ああ」


 ボクが頷き、冷蔵庫からコーヒーの入ったグラスを取り出す。


 一際冷えていて、二人でゆっくりと飲んだ。


 窓は開け放ったままになっている。


 外の景色が見えていた。


 空は初夏らしく綺麗に晴れていて、雲一つない。


 ボクたちはベランダに出て、寛ぎながら、町を見渡している。


 グラスの中の氷が揺れるカランという音がした。

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