繋いだ手は離さない
 ボクたちは自然と、どちらからともなく、グラスをテーブルに置いてキスし始める。


 ゆっくりと時間が流れ、ボクと愛理香は口付けを交わした。


 甘ったるい蜜の味がしているように、ボクたちは唇同士を重ね合わせて、キスし合う。


「……」


 互いに言葉は一切要らない。


 そしてボクたちは抱き合い、二人で室内へ舞い戻ると、ベッド上で性交し始めた。


 お互い愛おしいからか、体を重ね合わせながら、セックスし続ける。


 ボクも愛理香も吐息を漏らしながら、優しい愛撫を繰り出す。


 そう、刺激するとたちまち感じてしまう部分に……。


 ボクにも愛理香にも外の景色は見えていなかった。


 代わりに見えるのが、お互いの体だけだ。


 その日、ボクたちは性交し終わって、二人で一緒に入浴した。


 ボクが愛理香の髪にシャンプーすると、彼女もボクの髪を洗ってくれた。
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