繋いだ手は離さない
 二人にとって、二十三回目の夏が訪れていた。


 とても蒸し暑い夏で、ボクも愛理香も半袖にジーンズというラフな格好でいる。


 その年の秋、ある嬉しい出来事が起きた。


 愛理香が妊娠したのだ。


 もちろんボクの子供を、である。


 彼女がボクにそれを伝えると、経済的に余裕が出てきたボクが、産んで欲しい旨言う。


 愛理香が大学院を休学し、めでたくボクと結婚したのは、その年の十一月だった。


 彼女はしっかりしていて、お腹の中に赤ちゃんがいるので、激しい運動を控え、胎教までする。


 すでに母親になる準備は出来ているようだった。


 そしてボクも時を経ずして父親となる。


 その年のクリスマスはボクたち二人と、彼女のお腹の中の子供の三人でお祝いだった。


 それから家族となったボクと愛理香は、生まれてきた子供と三人で暮らし始める。

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