繋いだ手は離さない
 そして愛理香が無事掃除し終わると、ボクが立ち上がり、


「腹減っちゃったよ」


 と言った。


 やはり空腹のときは本音が漏れてしまう。


「分かったわ。今から作ってあげるから」


 愛理香がそう言い、頷くと、ボクが、


「何作るの?」


 と訊いてみた。


「何だと思う?」


「さあー……」


 彼女がわずかな間、含みを持たせて、一言、


「……肉じゃが」


 と呟くようにして言った。
< 21 / 124 >

この作品をシェア

pagetop