繋いだ手は離さない
 いい匂いがしてきた。


 じゃがいもとニンジンと玉ねぎ、それにカットされた豚肉が合わさって煮えている。


「はい、出来上がり」


 愛理香がそう言い、鍋の火を止めて、中の料理を丁寧に小分けし、リビングへと持ってきた。


 ボクはその得にも言わぬ料理の香りを嗅ぎ取りながら、


「いいね。手料理」


 とつい本音が出てしまう。


 それぐらい、愛理香は料理が上手い。
 

 ボクはさすがに女子大生の手作り料理には敵(かな)わない。


 食べられると思うだけで、もうメロメロだ。


 愛理香が皿を盆に載せ、運んできた。


 ボクたちは一緒に食事を取り始める。

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