繋いだ手は離さない
 ゴクリゴクリ……。
 

 喉を鳴らしながら、ボクたちはスポーツ飲料を飲んだ。


 そして水分を補給し終わると、愛理香が、


「暑い一日ね」


 と言い、着ていたビキニに付いていた砂を手で叩(はた)き落とす。


 ボクたちはいかにも夏の一日らしく、ゆっくりとしていた。


 いつに間にか愛理香の方もサングラスを取り出して嵌め、女性らしく薄手の生地で出来た帽子を被り、パラソル下で寛いでいる。


 幾分眠気が差し始め、ボクはそのまま昼寝してしまった。


 起きると、午後三時を回っている。


 一番いい時間帯だった。


 愛し合う恋人同士にとっては……。


 そしてボクは横のデッキチェアーで同じく眠っていた愛理香の唇に自分のそれをそっと重ね合わせた。
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