繋いだ手は離さない
 ボクは砂糖入りの缶コーヒーを愛理香に手渡し、自分はブラックのプルトップを捻って飲みながら、ゆっくりと口を開く。


「まだ眠い?」


「うん、まあね」


「あ、そういえば君、朝苦手だったよね?」


「まあ、確かに言われてみればそうかも……」


 愛理香が曖昧な口調で頷いた。
 

 ボクがコーヒーを飲み終えて、缶を捨てに外へ出ようとすると、彼女が、


「あたしも朝の新鮮な空気が吸ってみたい」


 と言い、車外へと出た。


 ボクたちは二人で朝の、絶えず潮が満ち干きする海岸に出て、ゆっくりと佇む。


 夏の時間が流れていく。


 中空には太陽が浮かんでいて、ギラギラと照り付けていた。


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