繋いだ手は離さない
 運転席にいるボクも疲れるには疲れていたのだが、ハンドルを握っている以上、途中で休めない。


 だが、やはり暑さには勝てなかった。


 ボクは車を道路の脇に停め、そこでいったんリアシートを倒して、愛理香と同じく朝寝した。


 太陽の光が降り注ぐ季節はとても楽しい。


 ボクも絶えず日差しを浴びながら、思わず一眠りしてしまう。


 起きたときは、午前十一時を回っていた。


 それに愛理香も起きている。


 ボクたちは二人揃って笑顔を見せ合いながら、互いに倒していたシートから起き上がって、前を見据えた。


 七月の海は一際眩(まぶ)しい。


 ボクがシートベルトをして、ハンドルを握る。


 視界から右側には青い海が広がっていて、ボクも愛理香も思わず見入った。

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