繋いだ手は離さない
ったドライブを一度は楽しんでみたかったのだ。

 
 八月になれば、避暑地である山も涼しい。


 走り抜けると快適だ。


 ボクがそのことを愛理香に告げると、彼女が、


「いいわね。山のドライブ」


 と言って、賛成してくれた。


 ボクたち二人は一ヵ月後のことを考えながら、逸(はや)る心を抑え込む。


 二人きりで過ごせる夏の休暇を思いながら、笑顔を見せ合った。


 愛理香は実家が造園業なので、花などの植物をよく見ていて、緑を見られることが嬉しいらしい。


 ボクも彼女と同様、山の緑を見ながら寛ぐのもいいかなと思っていた。


 つまり一ヵ月後のドライブは確定したわけだ。


 ボクたち二人は町に帰り着き、それぞれの部屋へと戻って、その日の午後は各々ゆっくりした。
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