繋いだ手は離さない
 ゆっくりと時間が流れていく。


 ボクたち二人が住んでいる町は田舎だ。


 十二月の半ばに入ってやっとクリスマスツリーなどが各地に並び始めたぐらいである。


 実は今日は二〇〇八年のクリスマスイブなのである。


 だが、この町に都会地ほどの華やかさは全くと言っていいほどない。


 それに住人であるボクたちもそんなものを求めてはいないのだ。


 ただ、二人で過ごせる時間が何よりも大切だった。


 ボクは愛理香と体を重ねるたびに思う。


“コイツは俺とばっちり合ってる”


 そう素直に思えてしまうぐらい、彼女はボクと呼吸が合っている。


 ボクは行為をしながら、考え続けていた。


 ボクたち二人が付き合い始めたときから今までを、だ。


 それはかなり前に遡(さかのぼ)る。
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