繋いだ手は離さない
 田舎とあってか、空気がとても美味しい。


 深呼吸して肺の中に新鮮な酸素を入れる。


 ボクも愛理香も満足だった。


 頂上には公園があり、ボクたちはそこでお昼を食べることにした。


 彼女が手製のお弁当と淹れていたお茶を取り出して、広げる。


 ボクは相当お腹が空いていたので、すぐにお弁当に箸を付け、速いペースで食べていた。


 愛理香がそれを見て、


「純平って子供みたい」


 と言い、フフフと笑う。


 彼女はゆっくりと食べながら、時折目を上げて、山の中にたくさんある緑を見つめた。


 どうやら緑を通じて、実家にいる頃を思い出しているらしい。
 

 ボクもお弁当を食べ終わって、愛理香が淹れてくれていたお茶を飲むと、フゥーと軽く息をついた。

< 40 / 124 >

この作品をシェア

pagetop