繋いだ手は離さない
「ネットで小説の連載してるの？」


「あ、見てくれてるんだ？」


「ええ。あたし、ブログにはあまり詳しくないけど、ちゃんとブックマークしてるわよ」


「ありがとう」


　どうやら愛理香はボクがネットで連載小説を書いている事実を知っているらしい。


　そう言えば、ボクは以前、彼女に言ったことがあった。


　高田幸人というペンネームを使って、執筆していることを。


　多分、愛理香はネットで検索してボクのブログに辿り着いたのだろう。


　ボクは毎日継続して数枚の原稿をアップし続けていた。


　それは自分にとって全然苦痛にならないぐらいの量だ。


　ボクはすでに新人賞公募用の原稿も書き終えて、出版社に送っていた。


　最終稿は三百枚とちょっとでコンパクトにまとまる。


　締め切りの約二ヶ月前にボクは原稿を出し終えていた。
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