繋いだ手は離さない
第10章
     10
 ボクたちはビーチに着くと、目の前にある寒々とした冬の海を眺め始めた。


 二人で砂浜に座り、ゆっくりする。


 互いに十分満足しているのが手に取るように分かっていた。


「寒いから、熱々の缶コーヒー買ってきてあげようか?」


「いいの?」


「ああ。俺は別に金に困ってないからな」


「じゃあ、レギュラーのホットコーヒーを一本」


「分かった」


 ボクが頷き、立ち上がって近くの自販機に向け、歩き出す。


 ゆっくりと時間が流れていった。


 愛理香は冬の冷たい海にじっと見入っている。
 

 潮風が吹き、ボクも潮の匂いを嗅いだ。

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