繋いだ手は離さない
何かにつけて世話好きなのだ。

 
 ボクは要領がよかったので、全部の講義に出席することはまずない。


 どうでもいい科目は適当にサボりながら、必要な分だけ講義に出ていた。


 それだけ時間の使い方が上手いし、おまけに大学の講義を馬鹿にしているようなところもあるにはあった。


 大学の教官は往々にして専門バカが多い。


 自分の専攻に関しては詳しいが、それから一歩出ると、まるで何も知らないし、常識すらないという人間たちばかりだ。


 だからボクはゼミなどにはきちんと出席するが、それ以外の科目は別にどうでもよかったし、愛理香が「行こう」と誘えば行くぐらいだ。


 時間を無駄にしたくないという考えが、大学生のボクにはすでに定着しつつあった。


 ボクは授業の合間を縫って、原稿を書き続けていた。


 ブログでアップするなり、専門のサイトで発表するなりして、ボクは作家修行をしていた。


 これだけネットやモバイルが発達した時代に、紙の書籍の作家だけを作家と呼ぶのはお
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