繋いだ手は離さない
かしい。


 なぜなら、そういう人間は氷山の一角だからである。


 ボクも新人賞に応募して、願わくば大賞なり、優秀賞なり、せめて佳作入選なりでもすれば、作家として十分やっていけると思っていた。


 ボクは自身がパソコンのキーを打つことに対し、全く抵抗がないからである。


 それだけしっかりと文芸修行をしつつあるのだ。


 書くことで知らず知らずのうちに上達するものである。


 それに、何にも替えがたい若さというものがある以上、ボクはたくさんの作品を書き続けるつもりでいた。


 二年になり、ボクは自宅アパートのパソコンから科目登録をして、授業が始まるのを待ち続けた。


 愛理香もボクの部屋に来ていて、一緒に科目登録する。


 互いに同じ科目ばかりで揃えていた。


 会える機会が増えるからである。

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