繋いだ手は離さない
「いいわよ」


 お互い、呼び名が決定したボクたち二人はケータイを取り出した。


「ワン切りして。電話帳に入れるから」


「ああ」


 ボクが砕けた口調で頷き、愛理香の言ったケータイ番号に掛ける。


 すぐに大音量の着メロとともに、彼女のケータイが鳴り出し、ボクは電話を切った。


「登録終わった?」


「うん」


 愛理香が頷き、ケータイを穿いていたジーンズのポケットへと仕舞い込んだ。


 こうして入学式直後、ボクたちは電撃的とも言うべき出会いを果たしたのだ。


 それは広い広いこの世界ではほぼ不可能に近いぐらい、奇跡的だった。
 

 そして晴れて恋人同士となったボクたちは、付き合い始める。


 長くに亘(わた)って続く交際の始まりだ。
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