繋いだ手は離さない
第12章
     12
 ボクたちは揃って山を降り、公園に付属している駐車場へと歩いて、ボクがロックを解除し、運転席に座った。


 愛理香も助手席に座り、ボクがエンジンを掛けて発進させる。


 二人で自分たちが普段住んでいる場所へと向かう。


 ボクは愛理香のアパートの前で車を停めると、彼女が降りる間際に一言、


「純平、大好きだから」


 と言った。


 ボクが愛理香を抱き寄せ、自分の唇を彼女のそれにそっと重ね合わせる。


 互いに若いからか、無我夢中で口付け合う。


 何度も繰り返しキスして、唇の表面にある潤った感触を確かめ合った。


「じゃあね」


 愛理香がそう言い、車から離れて、自室へと入っていく。


 ボクはその後ろ姿を見送って、彼女が自分の部屋へと入ったことを確認し、ゆっくりと
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