繋いだ手は離さない
 暑い季節が終わると、今度は涼しくなり出す。


 ボクは秋からまた創作に関して、新たなことをし始めた。


 それはネット上の投稿サイトに掌編や短編を連続して投稿するというものだ。


 ボクは夏場に拾い集めたネタを使って、一話が十枚とか二十枚とか、そのぐらいの字数の原稿を打ち始めた。


 実りの秋とはまさにこのことで、ボクは大量の原稿を書き、順次サイトにアップしていた。


 連日講義が開かれているが、正直、今の自分には小説の執筆の方が楽しい。


 だから、たまにサボることもあった。


 特に羽野の日本文学特講は、ボクにとっても嫌だったし、愛理香も嫌がっていたので、冒頭で出席を取ったらすぐに退出することにしていた。


 自分とそりの合わない人間の話を聞くことほど苦痛なことはないだろうと思うし、実際そうなのだ。


 これは社会人なら許されないことだが、ボクたちは学生だから、それが許された。


 そして二年生の後期も終わりに近付く。
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