繋いだ手は離さない
第13章
     13
 ボクたち二人はすでに科目登録を終えていて、授業が始まるまで、互いの部屋を行き来しながらゆっくりしていた。


 ブログにアップする原稿は継続して書き続けている。


 愛理香もボクと同様、いくらか余裕があるからか、投稿サイトに習作を発表し始めたようだった。


 彼女も恋愛小説を書いているようで、ボクは執筆の合間を縫って、作品を見ていた。


 ボクたちは二年とちょっとの付き合いで、互いのいいところもそうじゃないところも見えて、いろんなことに関してほぼ抵抗がなくなりつつある。


 二人で過ごす時間が何よりも楽しく、大事にしたい時間だった。


 授業が始まり、退屈な日常へと引き戻された頃、ボクたちは互いに申し合わせて講義に出ながら、同時に創作の技量(ぎりょう)に磨きを掛けていた。


 休みの日には、お互いパソコンを共有し合って、原稿を打ち続ける。


 だが、ボクの場合、どうしても新人賞の一次選考を通過しない。


 篩(ふる)いに掛けられて、落とされてしまう。

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