繋いだ手は離さない
 今夜は二人で新宿に泊まるのだ。


 ホテルは予めボクが予約しておいた。


 学生カップルらしく、質素なビジネスホテルのツインの部屋を取っている。


 食事はさっき都心にある定食屋で済ませてきたので、部屋に着き早々、軽くシャワーを浴びてゆっくりし始めた。


 ボクも愛理香もすっかり満たされている。


 二人でベッド上に並んで眠った。


 その夜は夏の一夜らしく、蒸すような陽気が辺りを包んでいた。


 ボクも愛理香もすぐに眠ってしまう。


 新しい朝が訪れ、その日ボクたちは渋谷の街に行くことにした。


 若者の街を一度は見ておきたいと思ったからだ。


 早起きし、身支度を整える。


 ボクが洗顔して整髪まですると、愛理香は夏物のファンデを散らし、薄いピンクのグロスを塗った。
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