繋いだ手は離さない
 返って、自分たちの地元の人間たちの方が下世話で、嫌な感じすらした。


 それぐらい、ボクたちは落ち着いている。


 普段から高北大のキャンパス近辺にいて、人間の数こそ違え、それ相応の学生を目にしているからか、ボクも愛理香も自然と渋谷の街に溶け込め出していた。


 つまり別の意味で言えば、人馴れしていないというのは全くの勘違いで、ボクたち二人はしっかりと人に慣れているのだ。


 それが渋谷などの都心の人間であるか、田舎町のそれであるかの違いだけである。


 そしてボクたちはしばらくの間、ピザが焼き上がるのを待ち続けた。


 先にコーヒーが二人分テーブルに持ってこられた。


 ボクも愛理香も喉が乾いていたので、一気にストローで中身を吸い取る。


 ズゥズゥー……。


 ボクたちは砂糖やミルクを入れることなしに、中身を一気に飲み干した。


 それからピザが運ばれてくる。
 

 大きなピザで、円形が綺麗に六つに切り分けられていた。
< 92 / 124 >

この作品をシェア

pagetop