繋いだ手は離さない
 ボクたちは一つずつ摘んで食べ出す。


「これ、美味しいね」


「ああ。味付けは濃いけどな」


 ボクと愛理香がそう言い交わし合って、出されたピザを食べながら、店内でブレイクした。


 朝の時間が流れていく。


 ボクたち二人は食事を取り終えると、コーヒーの残りを啜り取って、しばらく椅子に凭れ込んでいた。


 そう、二十分ほどが経ち、朝の十時半を回った頃か、ボクたちは店を出、渋谷の街に吸い込まれていった。


 丸一日街中を散策する。


 人間はとにかく多く、あちこちにいた。


 ボクも愛理香もしっかりと手を繋ぎ、ゆっくりと歩いて回る。


 その日は丸一日渋谷の街を歩き、すっかり疲れてしまったので、夕方になると、新宿の宿泊先へ戻った。



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