繋いだ手は離さない
 ホテルに着いたのが、午後八時前だった。


 ボクも愛理香もお腹が空いていたが、また大勢の中に入るのが躊躇(ためら)われたので、ホテルのすぐ近くにあるラーメン屋へと行く。


 夏なので、冷麺と餃子で簡単に夕食を済ませ、ボクたちは食べ終わった後、店を出た。


 ボクが左腕に嵌めていた腕時計を見る。


 午後九時半で、今から風呂に入るにはちょうどよかった。


 ボクたちは揃って店を出てから、ホテルへ向け歩き出す。


 シャワーを浴びれば、午後十一時ぐらいになると思われた。


 ボクも愛理香もゆっくりと一風呂浴びたら、同じベッドでゴロゴロするつもりでいる。


 何せ、夏場とあってか蒸し暑い。


 今夜も寝苦しい夜になると思われた。


 ボクたち二人はホテルへと戻り、フロントで預けていたキーを受け取ると、二人で上階を目指す。


 十一階の1105室がボクたちの部屋だ。
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