繋いだ手は離さない
第15章
     15
 ボクと愛理香で迎えた三度目の夏も無事終わろうとしている。


 さすがに慣れない場所とあってか、東京散策ですっかり疲れてしまっていたボクたちは、帰ってきてから数日間、互いの部屋でゆっくりしていた。


 そう、旅行疲れしていたのである。


 ボクも愛理香も三年の後期が始まるのを待っていた。


 前期の成績発表も終わっていて、彼女はまた優ばかりを取ったようだった。


 逆にボクは相変わらず、良がいくつかあるぐらいで、可などが多かったのだが……。


 そして夏が終わり、実りの秋とあってか、ボクの創作にも身が入った。


 その年の九月、ボクはブログで連載をしながら、同時にまた三百枚の中篇を別の新たな新人賞に公募した。
 

 原稿を書くのにすっかり慣れていたボクは、パソコンのキーを叩き続けることに抵抗がなくなっていて、孤独を強いられる創作にも慣れきってしまっている。


 連日朝から昼過ぎぐらいまで原稿を打った後、暑い部屋で昼寝するか、外に出てキャンパス近辺を散歩していた。
 
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