繋いだ手は離さない
 大学の夏休みは無駄に長く、ボクも愛理香も返って休み疲れしている。


 そして長い休みも終わり、後期の授業が始まった。


 ボクたち二人は互いのケータイで電話なりメールなりして連絡を取り合いながら、付き合い続けている。


 互いに二十一歳で、すっかり成熟した関係となっていた。
 

 三年ともなると、授業も学科ごとに行われるようになって、専門の講義が続く。


 ボクはその手の話に退屈し出していた。


 どうやら優等生で通っている愛理香も同様のようだ。


 ボクたち二人は、上手いこと授業を掻(か)い潜(くぐ)りながら、キャンパス生活を送り続けた。


 互いにだいぶ要領がよくなっている。


 ボクは講義がないか、サボっても構わない空き時間は創作に充てていたし、愛理香も院に進む気があるらしく、早々と大学院の受験勉強をし始めたようだ。


 高北大の人文学部には付属の大学院がある。


 今時、院など誰でも入れるところばかりで、実質競争率は低かった。
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