繋いだ手は離さない
 よほどのことがない限り、大学院には進めるし、修士などは当たり前で、博士号なども昔と比べると格段に取りやすくなっている。


 それだけ教育界のレベル自体が低迷しているのだった。


 愛理香も複数の大学院を受験する予定のようだが、どこでもいいのなら、いくらでも進む道はある。


 それにボクの方は創作ばかりで、学校で教わる学問にはまるで関心がない。


 大学で行われる講義も所詮は小手先だけのものに過ぎないのだ。


 実社会に出ても使えない知識ばかり教え込まれる。


 ボクはそういったことにいい加減辟易(へきえき)していた。


 愛理香と申し合わせて、ゼミには欠かさず出席していたが、それ以外はいい加減にやっていた。


 最低単位だけは落とさないように、だ。


 ボクは三年生の後期を主に創作に使いながら、


“もうそろそろ力作の一つや二つ書いてみようかな”

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