笑わない冷血姫は溺愛王子様たちに捕まりました。

♢4人の溺愛王子様たち




…来てしまったこの日が。今日は4月22日…そう、婚約者候補さん達の転入日。



私は今、重たい腰を上げて、月摘学園の廊下を歩いている。



きっと今までの人生の中で一番憂鬱な気分…、



ていうかお父様は今日転入してくると言っていたけど…それらしい人を見ていないんだよね…



もしかしてやっぱり昨日の事は私の悪い夢だったりして…? …なんてあるわけないかぁ…あはは。



願いが叶うなら、どうか…!どうか…!私のクラスに1人も婚約者候補さん来ませんように!



月摘学園中等部は元々国内トップの女子進学校だったけど、去年の夏から名門男子校と合併して、国内屈指のマンモス校になった。



全クラス12クラスだから、同じクラスになる確率はかなり低い。更に校内は1階につき3組ずつの教室の配置で、私は2年1組だから婚約者候補さん達が1組から3組にならなければ会う事はない…!



そして、今のところ会ってないという事は…もしかして本当に違うクラスだったりっ…



「きゃ〜!何、あのイケメン集団っ…!」



ん…?なんか女の子達の黄色い声援が聞こえる…



声がする方に視線を移すと、廊下に人集りができていた。



騒がしい廊下に耳を澄ますと、途切れ途切れに聞こえた女の子たちの言葉。



「きゃー、かっこいいっ…。」


「え、待って。あの4人何者!?あそこだけ顔面偏差値バグってない!?」



わぁっ…本当に綺麗な顔立ち…。



まるで後光が差しているのかと疑ってしまうような美しさで魅入ってしまいそうになる…、



男の人にこんな感情を抱くのは初めてっ…



やはり、女の子達は美少年達に釘付けだった。



「あの男の子可愛いっ…、天使みたい!」



そう言われている彼は本当に天使みたい。これどもかっていうほどの小顔に加えて、目がきゅるんと大きく、全てのパーツが整っていている。ダボっと着ているピンクのセーターも、ホワイトピンク色の髪に合っていて本当に可愛い。



「あの男の子、SNSで有名なインフルエンサーの人じゃない!?
見たことあるっ…確か、Yukiくん!!」


「私も知ってる!最近フォロワーが50万人突破したって投稿してた…!」



インフルエンサー、?私はインターネットに詳しくないから分からないけど…凄く人気なことがこの場の女の子達が証明している。



「うわぁ…っ、あの人クールな感じでかっこいいっ…。」



今度は、またさっきの可愛い男の子とは打って変わって、誰も近付かせないような雰囲気をもっている、ザ・クールといった感じのイケメンさん。さらさらな黒髪に、切れ長の瞳、かけている眼鏡の金縁も、知的な雰囲気に凄く合っている。


「あの人私知ってる!!確か、全国模試1位常連の…紺乃さん?」


「あー!知ってる!この間ニュースに出てた!孤高の天才王子って。」


「高スペイケメンとか最高かよ…っ!!」



どうやら彼も有名人らしく、女の子達の声援が止まらない。



「えぇ〜!?何で夏樹くんと司くんがいるの…!?」



今日1番の大きい声援が響いた。一体誰がいるの…?



「白石夏樹といえば今話題の若手俳優だよね…!?今月のドラマの主演だし…。」



夏樹くんと呼ばれている彼は、色素の薄い金髪に、背がすっごく高い。甘い顔立ちに、柔らかい雰囲気が本当に王子様みたい。本当に人なのかと疑うほど、綺麗な顔立ちで、俳優の方と聞いて納得がいった。



「新同司くんといえば今1番人気のアイドルユニット″Luna″の絶対的センター兼メインボーカルじゃん…!」



さっきの俳優の方と引けを取らないほどの声援を受けている彼は、司くんと呼ばれている。
鎖骨くらいまである、綺麗な白髪に、鮮やかな赤のインナーカラー。その髪に負けず劣らず、整った顔。正統派イケメンって感じの爽やかな雰囲気がまさにアイドルという感じ。


「私、普通に2人のファンなんだけど。」



というか…何でこんなすごい人達が4人も同時にこの学園に…?



え、ちょっと待って…何か忘れているような…?



「もしかして噂の転入生って…この4人のことっ!?」



それだっ…!!そうだよ、お父様が言っていた婚約者候補さん達って…まさか、この4人!?



さっきまで他人事のように見ていたけど、そうとわかった瞬間鳥肌と寒気がしてきたっ…



よく見たら私のクラスに向かってるよね…!?



私は居ても立ってもいられなくなって、気付いたら、慌てて教室から飛び出していた。


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