アイドル彼氏
「…ごまかさないでよ。ちゃんと言ってくれなきゃ、こっちがスッキリしない。」
「…でも…俺が言っても静香ちゃん多分…スッキリしないと思うんだけど…」
啓君が天井を見上げながら小さく言った。
「…いいよ。別に…スッキリしなくても、隠される方があたしは嫌だから。」
あたしは、優しく微笑みながら啓君を見た。
啓君は、目線を天井からあたしに変えて一回ため息をついて
口を開いた。
「…後悔しても知らないよ?」
「うん。」
この時……
“後悔”という言葉にどうして気にせず
“うん”と言ってしまったんだろ……
“やっぱ後悔するならいい”と我が儘言ってしまえば良かったのかな?
でも、もう遅いんだ…
チュッ
啓君の唇が教えてくれた…
…真っ暗な道はもう直ぐそこだった……