本読む君
恋愛対象にならないはずなのに
◯坂道(朝・2話目の最初の場面の続き)
ゆうみのことをおぶって坂道を登るりょうの後ろ姿。
◯学校・下駄箱(朝)
時計が8時45分を指す。
ゆうみとりょうが一緒に登校してくる。
ゆうみ「…」
りょう「なに?なんか言いたそうだけど」
ゆうみ「いや、あんたのクラスも名前も知らない」
りょう「3年4組、沢田りょう」
ゆうみ「4組…。って、隣のクラスじゃん!なんだ〜。よろしく!私は、田辺ゆ、」
りょう「ゆうみ」
ゆうみ「そ、そう(笑)よろしく、りょう」
りょうに握手を求めるゆうみ。
ゆうみの手を握ることなく、1人でにクラスへ向かうりょう。
ゆうみ(M)「見ず知らずの女子にいきなりキスしてきたり、おんぶしたりするくせしていきなり冷たくなるとか、何なのあいつ」
りょうの後ろ姿を見つめるゆうみ。
綾の声「ゆうみー」
ゆうみ「綾、おはよー!」
綾「病院は?行ったの!?」
松葉杖を綾に見せびらかすゆうみ。
綾「え?松葉杖?まじか〜。うちのエースがぁぁ」
ゆうみ「まぁ、すぐ治るっしょ。夏の大会までには完璧に治すからさっ!」
◯職員室(昼休み)
顧問の権田と話し合っているゆうみ。
権田「そうか〜。何とか夏の大会までに完治できればいいが」
ゆうみ「はい。何が何でも完治させます」
権田「そうじゃなきゃ困るぞ。うちのエースが活躍してくんなきゃならんし。今年こそ、夏の県大会出場を叶えたいんだからな」
ゆうみの肩を優しく叩く権田。
ゆうみ「はいっ。なので今日からの部活は、トレーニングメインで出させていただきます」
権田「いやいやダメだよ。もちろんトレーニングは大事だが、お前にとって今向き合うべきは中間テストだからな。とりあえず足も悪化させられんし、テストまでの2週間はお前は部活に来ちゃならんよ」
ゆうみ「え、でも先生…」
権田「お前の頭の中はバスケでいっぱいだろうが、学生にとっちゃテストも大事なんだぞ。だから今だけはテストのことを考えろ」
ゆうみ「…」
権田「というわけだ。今は足の完治と勉強だけを考えろ」
ゆうみ「…はい。失礼します」
その場でお辞儀をし、職員室から出ていくゆうみ。
ため息をつくゆうみ。
◯図書室(放課後)
生徒はおらず、ガランとした室内。
松葉杖をついて、スポーツの本棚を探すゆうみ。
ゆうみ「あっ、これだ」
手を伸ばすが、本に届かないゆうみ。
ゆうみの伸ばす腕より、長い腕が隣に現れる。
ゆうみ「えっ」
ゆうみが隣を見ると、そこにはゆうみが取りたかった本『バスケ技術向上』を手に持ったりょう。
りょう「はい」
ゆうみ「な、何で?ここにいるの」
りょう「俺、図書係だから」
ゆうみ「部活は?そんな身長高いのに何もやってないの?」
りょう「本が読めればそれでいい」
ゆうみ「ふ〜ん」
ゆうみ(M)「私はこの時、沢田りょうは恋愛対象にならないと確信した。私は昔からバスケ一筋なものだから、好きになる相手だってスポーツやっている男しか好きにならないだろう。だから、こんな図書係のひょろっとした男には興味が湧かない」
りょう「部活、行かないんだ」
ゆうみ「うん。顧問に2週間来るなって言われちゃった…。行っても今は何もできないし、テストも近いから『勉強のできないお前は勉強のことを考えろ』ってね」
りょう「そっか。でも頭の中はバスケのことでいっぱいなんだね」
ゆうみ「(自分の持っている本を見て)確かに。バスケのことばっかだね」
りょう「(ゆうみの耳元に)俺のことでいっぱいになればいいのに」
ゆうみ「え?」
りょう「じゃあ。俺、仕事あるから」
その場から立ち去るりょう。
その場に立ちすくすゆうみ。
ゆうみ(M)「おかしい。昨日会ったばっかりのあいつが、私の気を変にする。絶対好きになるはずないのに…」
ゆうみのことをおぶって坂道を登るりょうの後ろ姿。
◯学校・下駄箱(朝)
時計が8時45分を指す。
ゆうみとりょうが一緒に登校してくる。
ゆうみ「…」
りょう「なに?なんか言いたそうだけど」
ゆうみ「いや、あんたのクラスも名前も知らない」
りょう「3年4組、沢田りょう」
ゆうみ「4組…。って、隣のクラスじゃん!なんだ〜。よろしく!私は、田辺ゆ、」
りょう「ゆうみ」
ゆうみ「そ、そう(笑)よろしく、りょう」
りょうに握手を求めるゆうみ。
ゆうみの手を握ることなく、1人でにクラスへ向かうりょう。
ゆうみ(M)「見ず知らずの女子にいきなりキスしてきたり、おんぶしたりするくせしていきなり冷たくなるとか、何なのあいつ」
りょうの後ろ姿を見つめるゆうみ。
綾の声「ゆうみー」
ゆうみ「綾、おはよー!」
綾「病院は?行ったの!?」
松葉杖を綾に見せびらかすゆうみ。
綾「え?松葉杖?まじか〜。うちのエースがぁぁ」
ゆうみ「まぁ、すぐ治るっしょ。夏の大会までには完璧に治すからさっ!」
◯職員室(昼休み)
顧問の権田と話し合っているゆうみ。
権田「そうか〜。何とか夏の大会までに完治できればいいが」
ゆうみ「はい。何が何でも完治させます」
権田「そうじゃなきゃ困るぞ。うちのエースが活躍してくんなきゃならんし。今年こそ、夏の県大会出場を叶えたいんだからな」
ゆうみの肩を優しく叩く権田。
ゆうみ「はいっ。なので今日からの部活は、トレーニングメインで出させていただきます」
権田「いやいやダメだよ。もちろんトレーニングは大事だが、お前にとって今向き合うべきは中間テストだからな。とりあえず足も悪化させられんし、テストまでの2週間はお前は部活に来ちゃならんよ」
ゆうみ「え、でも先生…」
権田「お前の頭の中はバスケでいっぱいだろうが、学生にとっちゃテストも大事なんだぞ。だから今だけはテストのことを考えろ」
ゆうみ「…」
権田「というわけだ。今は足の完治と勉強だけを考えろ」
ゆうみ「…はい。失礼します」
その場でお辞儀をし、職員室から出ていくゆうみ。
ため息をつくゆうみ。
◯図書室(放課後)
生徒はおらず、ガランとした室内。
松葉杖をついて、スポーツの本棚を探すゆうみ。
ゆうみ「あっ、これだ」
手を伸ばすが、本に届かないゆうみ。
ゆうみの伸ばす腕より、長い腕が隣に現れる。
ゆうみ「えっ」
ゆうみが隣を見ると、そこにはゆうみが取りたかった本『バスケ技術向上』を手に持ったりょう。
りょう「はい」
ゆうみ「な、何で?ここにいるの」
りょう「俺、図書係だから」
ゆうみ「部活は?そんな身長高いのに何もやってないの?」
りょう「本が読めればそれでいい」
ゆうみ「ふ〜ん」
ゆうみ(M)「私はこの時、沢田りょうは恋愛対象にならないと確信した。私は昔からバスケ一筋なものだから、好きになる相手だってスポーツやっている男しか好きにならないだろう。だから、こんな図書係のひょろっとした男には興味が湧かない」
りょう「部活、行かないんだ」
ゆうみ「うん。顧問に2週間来るなって言われちゃった…。行っても今は何もできないし、テストも近いから『勉強のできないお前は勉強のことを考えろ』ってね」
りょう「そっか。でも頭の中はバスケのことでいっぱいなんだね」
ゆうみ「(自分の持っている本を見て)確かに。バスケのことばっかだね」
りょう「(ゆうみの耳元に)俺のことでいっぱいになればいいのに」
ゆうみ「え?」
りょう「じゃあ。俺、仕事あるから」
その場から立ち去るりょう。
その場に立ちすくすゆうみ。
ゆうみ(M)「おかしい。昨日会ったばっかりのあいつが、私の気を変にする。絶対好きになるはずないのに…」