夏色物語

「入りなさい」

 教師の落ち着いた声のあと、
ゆっくりと教室の戸があく。

 …と、女子たちの黄色い声が
あちこちから飛び出る。

「ねね、宇美ちゃん。
結構かっこよくない?」

「あ?」

 私は海からゆっくりと視線を
前にずらした。

 そこには
”今日から新しく仲間になる人”が
立っていた。

 確かに…イケメン。


 整った顔立ちに
ちょっと癖のある髪。
 口元には人懐こい微笑みを
浮かべている。


 ソイツの顔をみると
頭の中がキシキシと嫌な音を
たてはじめた。


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