スイーツ王子は、お菓子のようには甘くない!
○透夏の家(夕方)
透夏の肩にシップを張って応急処置中。
朔夜「他に痛むところ、ない?」
透夏「う、うん。大丈夫。軽くぶつけただけだし」
服をずらしていた恥ずかしさから、いそいそと着直す透夏。
羞恥に耐える表情。
透夏(治療って分かってるけど、恥ずかしいモノは恥ずかしい!)
朔夜「そっか。よかった」
朔夜の肩から力が抜けるも、暗い表情のまま。
朔夜「軽い打撲だろうけど、痛かったら病院いけよ」
透夏「これくらい、大丈夫だよ。こう見えて昔はやんちゃで、怪我なんて日常茶飯事だったし」
朔夜「だからって、ケガを軽く見ようとするな」
透夏「いてっ」
朔夜は呆れたように軽いデコピンをした。
朔夜「あんたはもうちょっと自分を大事にしろよ」
透夏「粗末にしているつもりはないよ。それに、ああいう人から天宮くんを守るって契約でしょ?」
朔夜「だからって、あんたが傷ついていいとは思ってねぇよ」
透夏「……」
透夏(変なの。壁になれっていうわりに、私が傷つくのは許せないなんて)
自分を大事にしろと言われたのが初めてだった透夏は心がほわっとしてしまい、その感覚に困惑する。
嬉しいような、気恥ずかしいような……。
朔夜「てかあんた。なんで食ってかかった? ああいうのは適当にかわせばよかっただろ」
透夏「え? ……ああ」
それかけていた思考が戻る。
透夏は先ほどのことを思いだして苦い顔になった。
透夏「だってあの人たちの言い分にムカっと来ちゃって……」
有紗が朔夜を「自分を輝かせるアクセサリー」のように話していたのが癪にさわった。
人の意志を無視して、自分の都合のよいように扱うのが。
透夏「全部が全部、自分の思い通りにならないと気がすまないんだろうね。私、ああいうタイプホントに嫌い」
朔夜「……」
透夏「それにさ、あの人私どころか天宮くんも見下して……って、なになになに?」
朔夜は無言で透夏の頭をなでくり回し始めた。
手を止めさせて見上げると、優しい顔でほほえんでいる朔夜が。
見たことのない顔で、今度は透夏の動きが止まる。
朔夜「……真っ直ぐで、人のことを考えてくれるのはあんたの美徳だけど、ムリすんな」
透夏「……」
再び頭を優しく撫でられる。
父親が子供を褒めるような手つきに、むずかゆい気分になる。
恥ずかしいし、やめてほしいはずなのだけど……。
透夏(どうしてこんなに落ち着くんだろう……)
今度は朔夜の手を止めることもせずに受け入れる。
――間――
しばらくすると冷静になってきた透夏は、ふとここが自分の家で、今は二人きりだということに気がつく。
それに先ほど治療のために肩だけとは言え肌を見せてしまったことも。
透夏「……っ」
気がつけばどんどん恥ずかしくなってしまい、変に意識してしまう。
そこに玄関が開く音がした。
母「ただいま~」
透夏「……え!?」
慌てる透夏だが、無情にもリビングのドアが開いてしまう。
入ってきたのは透夏の母・夏凪子。
夏凪子:四十代前半のショートカット&バリバリスーツのキャリアウーマン。
母「……」
透夏「……」
母と目が合うと、少しの間が流れる。
見る見るうちに夏凪子の目が見開かれていく(好奇の目で)。
母(夏凪子)「あらやだっ。透夏が男の子家に連れ込んでる!?」
透夏(いやああああ!)
青ざめた透夏は心の中で絶叫した。
透夏の肩にシップを張って応急処置中。
朔夜「他に痛むところ、ない?」
透夏「う、うん。大丈夫。軽くぶつけただけだし」
服をずらしていた恥ずかしさから、いそいそと着直す透夏。
羞恥に耐える表情。
透夏(治療って分かってるけど、恥ずかしいモノは恥ずかしい!)
朔夜「そっか。よかった」
朔夜の肩から力が抜けるも、暗い表情のまま。
朔夜「軽い打撲だろうけど、痛かったら病院いけよ」
透夏「これくらい、大丈夫だよ。こう見えて昔はやんちゃで、怪我なんて日常茶飯事だったし」
朔夜「だからって、ケガを軽く見ようとするな」
透夏「いてっ」
朔夜は呆れたように軽いデコピンをした。
朔夜「あんたはもうちょっと自分を大事にしろよ」
透夏「粗末にしているつもりはないよ。それに、ああいう人から天宮くんを守るって契約でしょ?」
朔夜「だからって、あんたが傷ついていいとは思ってねぇよ」
透夏「……」
透夏(変なの。壁になれっていうわりに、私が傷つくのは許せないなんて)
自分を大事にしろと言われたのが初めてだった透夏は心がほわっとしてしまい、その感覚に困惑する。
嬉しいような、気恥ずかしいような……。
朔夜「てかあんた。なんで食ってかかった? ああいうのは適当にかわせばよかっただろ」
透夏「え? ……ああ」
それかけていた思考が戻る。
透夏は先ほどのことを思いだして苦い顔になった。
透夏「だってあの人たちの言い分にムカっと来ちゃって……」
有紗が朔夜を「自分を輝かせるアクセサリー」のように話していたのが癪にさわった。
人の意志を無視して、自分の都合のよいように扱うのが。
透夏「全部が全部、自分の思い通りにならないと気がすまないんだろうね。私、ああいうタイプホントに嫌い」
朔夜「……」
透夏「それにさ、あの人私どころか天宮くんも見下して……って、なになになに?」
朔夜は無言で透夏の頭をなでくり回し始めた。
手を止めさせて見上げると、優しい顔でほほえんでいる朔夜が。
見たことのない顔で、今度は透夏の動きが止まる。
朔夜「……真っ直ぐで、人のことを考えてくれるのはあんたの美徳だけど、ムリすんな」
透夏「……」
再び頭を優しく撫でられる。
父親が子供を褒めるような手つきに、むずかゆい気分になる。
恥ずかしいし、やめてほしいはずなのだけど……。
透夏(どうしてこんなに落ち着くんだろう……)
今度は朔夜の手を止めることもせずに受け入れる。
――間――
しばらくすると冷静になってきた透夏は、ふとここが自分の家で、今は二人きりだということに気がつく。
それに先ほど治療のために肩だけとは言え肌を見せてしまったことも。
透夏「……っ」
気がつけばどんどん恥ずかしくなってしまい、変に意識してしまう。
そこに玄関が開く音がした。
母「ただいま~」
透夏「……え!?」
慌てる透夏だが、無情にもリビングのドアが開いてしまう。
入ってきたのは透夏の母・夏凪子。
夏凪子:四十代前半のショートカット&バリバリスーツのキャリアウーマン。
母「……」
透夏「……」
母と目が合うと、少しの間が流れる。
見る見るうちに夏凪子の目が見開かれていく(好奇の目で)。
母(夏凪子)「あらやだっ。透夏が男の子家に連れ込んでる!?」
透夏(いやああああ!)
青ざめた透夏は心の中で絶叫した。