スイーツ王子は、お菓子のようには甘くない!

第5話 透夏のきもち


 ○華桜(かおう)製菓専門学校の外(午前)
 おしゃれなビルのような学校の前で、緊張気味(きんちょうぎみ)透夏(とうか)が上を見上げて(つば)をのんだ。


 透夏「つ、ついに来ちゃった……」
 朔夜(さくや)「緊張しすぎじゃない?」

 透夏「だ、だって」


 学校に入っていくキラキラした生徒たちを目で追う透夏。


 透夏「(あこが)れの学校に入るんだよ? 緊張もするって!」
 朔夜「つっても体験だろ? そんな緊張せずに、肩の力抜いてやればいいんじゃね?」

 透夏「そう言われても……。天宮くんはいつも飄々としているけど、緊張とかしないの?」
 朔夜「しないな。だってオレだし」

 透夏「……そう」


 自信満々に答える朔夜に(あき)れる透夏。


 朔夜「あんたも、大丈夫だ」
 透夏「え?」


 透夏の髪を優しくすくって、口づける朔夜。


 朔夜「今、あんたの隣にはオレがいる。それより緊張することなんて、ないはずだけど?」
 透夏「!」


 突然の接近に赤くなり突き放す。


 透夏「なにするのっっ! ここ、外!」
 朔夜「知ってるけど?」

 透夏「なっ!」
 朔夜「だって体験入学の方がオレといることより緊張するなんて、むかつくじゃん。だからオレに意識向けさせようかなって」

 透夏「はあ!?」
 朔夜「オレに集中しちゃえば緊張も取れるだろ?」


 にやにやと笑っている朔夜をみて、からかわれたのだと理解した透夏はさらに赤くなる。


 透夏「天宮くん!」
 朔夜「あはははは」


 ひとしきり笑った朔夜に手を取られる。


 朔夜「ほら、遅れる。早く行くぞ」
 透夏「もうっ!」


 二人はそのまま中へと向かっていった。


 ○華桜製菓専門学校・教室内
 体験のコースは実習製菓。
 実際に専門で行っている授業と同じ器具を使って、先生や先輩たちと一緒にお菓子作りを体験する。


 (体験中、ダイジェストで)
 ・キラキラした瞳で校内を見回っている透夏
 ・先生や先輩たちの話を熱心に聞いている透夏
 ・ケーキ作りで形がきれいにできていると褒められて嬉しそうな透夏
 ・それを優しい顔で見守っている朔夜

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