スイーツ王子は、お菓子のようには甘くない!

第10話 雨の中で


 ○学校・日中
 雨が降り出しそうな空の下。
 今日は朝からいろんな人の好奇(こうき)の視線を浴びていた。

 クラスメイト達もどう接していいのか分かりかねているのか、近づいてこない。
 そのおかげでゆっくり考えられるかと思いきや、休みのたびに朔夜(さくや)が教室を訪れようとするので気が休まることはなかった。

 この休憩(きゅうけい)時間も、授業が終わると速攻(そっこう)で教室を抜け出し、朔夜と鉢合(はちあ)わせにならないように避けて回っている。


 透夏(とうか)「……はあ」


 透夏が逃げてきたのは図書室だった。
 昼の図書室はシンとしており、人もまばらだ。


 ――ピコン


 透夏「……」


 すぐさまスマホに通知が来る。
 画面を見ると【天宮(あまみや)くん】の文字が表示されている。

 スマホにたまった通知は全て朔夜からのものだ。
 昨日から通知は来ていたけれど、何を言われるのかと思うと怖くて開けなかった。
 せめてもう少し心の整理ができてからにしたいのだが、未だに通知は止むことはなかった。


 透夏(確認しないと分からないけど、昨日の今日じゃ、頭ごちゃごちゃだよ……)


 朔夜は透夏と話したがっているようだが、透夏としてはもしも「許嫁(いいなずけ)のことがあるから別れよう」などと言われたら……。と思うと顔を見て話すことなど不可能(ふかのう)だった。


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