スイーツ王子は、お菓子のようには甘くない!
母『でも、結局私はお父さんとは別れなかった。ちゃんと面と向かって腹割って話し合ったの。そしたら、私の勘違いって分かったのよ』
透夏「勘違い……」
母『そう。相手から一方的にいい寄られているだけで、相手にしてはいないってね。相手の子が勝手に彼女を名乗っていたらしいのよ』
透夏「そうなんだ……」
母『あの人はね、感情に任せて一発入れたことも不問にしてくれたわ。疑われるようなことをしたのは自分だからって。そのとき、ああ、この人とだったら結婚できるって思ったの』
母はふざける様に「もちろん謝り倒したけどね」っと付け加えた。
母『だからね、透夏。もしそう言うことが起きているのなら、あなたもちゃんと話し合いなさい。満足するまで、顔を見て、言葉を伝えて。じゃないと、きっと後悔する』
透夏「……うん」
母の言葉は間違いようがなかった。
今だって、朔夜を避け続けて話を聞かないでずっとモヤモヤしているから。
母『大丈夫。もし泣いても、私が付いているわ』
透夏「お母さん……」
母の言葉に涙ぐむ。
母は少しだけ笑って、空気を変えるように明るい声になった。
母『でもね、私が見ても朔夜君はあなたのことが好きで好きでしょうがないって感じだったわよ』
透夏「そう……かなぁ」
母『そうよ。あなたは気がついてないみたいだったけどね。……まあだから、何か理由があるんじゃない?』
透夏は目を閉じて考える。
朔夜が言っていた言葉を。
透夏(もしも勘違いなら……)
透夏「そうだね。逃げてるだけじゃ、解決しないよね」
透夏(風邪が治ったら、話をしよう)
透夏は朔夜と話し合う決意を固める。
例え、どんな結果になろうと……。